家族'-mix-

 ドアを開ける前から、中の光景はうっすらと想像して
いた筈なのに、茫然自失してしまった。それを現実に引
き戻すのは京介の声。
 「遅かったですね、神代さん」

 京介とのキスを蒼に見られてしまって以来、俺達の関
係は世間体並みになってしまった。少なくとも俺の感覚
では「家族」だった筈の男達が只の「共同生活者」にな
ってしまった。
 一番堪えたのは蒼が甘えかかってきてくれねぇ事だ。
その原因が独占欲か、俺への不信感かは本人さえも判っ
ていねぇようだ。が、俺との距離をおいている事に違い
はねぇ。
 深春も、似たり寄ったりだろう。
 おそらくご同様だ。誘われて今まで、だろうな。
 「家族」だと思っていたのは俺の甘ったるい自己満足
で、現実は京介を共有しているだけの関係、か…。糞ッ
たれ!情け無ェもんだ。

 そして、京介からメモを渡された。その種のホテルの
場所・部屋番号・時間が記してあった。
 「蒼と深春も、か」
 京介は透明に微笑んだ。肯定か。果たして其処から何
を導くつもりだ?欲望か?それとも…。

 深春の腰の上で京介が踊る。その股間に蒼が顔を埋め
ている。ピ…チャ…ク…チ…ャ…。唾液とも粘液とも知
れぬ淫らな音が響く。
 「蒼」
 京介に促され、蒼が俺にまだ燻ったままの身体をぶつ
けてくる。唇を重ねる内に熱は段々上昇してくる。
 「先生も…雄になろ…?」
 片手で俺の服を次々剥ぎ取り、空いた方の手は俺自身
を愛撫し、いつしか後ろにまで伸びていた。
 「どうせなら、じっくり解せや」
 そう。抗うよりは愉しんで溺れちまった方がいい場合
もあるってな。
 「20年は使ってねぇんだ。1度使ったきりだしな」
 「じゃ、壁に手をついて下さい。…ぼくもこうするの
は初めてだけど」
 ちらちらと舌を這わせてくる。躊躇うような感覚と時
折かかる鼻息に記憶が呼び覚まされ、我知らず声が漏れ
た。
 「綺麗…あ…綻んできた」
 「そろそろいいか。蒼、どっちぃ向きゃあいい?」
 「仰向けで…。顔、見ていたい」
 台詞は初々しい。でも下半身のやる気は…並み異常だ
な。
 腰枕をして的を見え易くしてやる。入口付近で随分濡
れた筒先が迷っている。
 「いいか…其処!其の侭前に…それっ!」
 「せんッ…せ…イッ…。は…ぁ…アッ…」
 痛みと快感半分はお互いだろうな。俺も本当に久しぶ
りだし、その相手をするお前もな。
 「いい…ゾッ。もう…少し、抉る…感じ…で…」
 ま、こっちまで教えるとは思わなかったけど、な。
 ふと見上げれば京介が深春を呑み込んだまま俺の顔を
覗き込んでいる。俺の割り切り様に呆れているのか、そ
れとも問いかけに答えを…?
 行動だけか。其の侭俺の口を吸い、舌を深く絡めてく
る。珍しく息が上がってるじゃねぇか。俺まで巻き込ん
だ事に興奮でもしてやがるのか?仕方ねぇ、ここまで来
たら一蓮托生だ。
 「京介、俺の口にくれねぇか?」
 言うか早いか京介自身が俺の唇を割って入ってくる。
さっき果てた後らしく、名残香が口に広がる。そして自
分は深春を口で愛撫する。蒼は深春の蕾を舌で攻めてい
る。
 同時に、大波に浚われた。

 京介。
 お前が望んだのは、本当にこんな関係だったのか?
 違う、って、俺は信じてるけどな。
《コメント》
家族の形は色々あると思います。
愛情表現もまた然り。京介にとっては
それが肉欲とリンクしただけです。
罪でしょうか?それとも… 

家族’-2×2-



家族’-miharu-

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