忍ぶ恋
何だろうか。最近よく誰かの視線を感じるのは?
気のせいだろうか?今も天井のあたりから誰かの
視線を感じるのは。
「何を考えているんですか?」
突然耳を嘗められた。みると不機嫌な顔の蒼。
「何を考えているんですか?そんな余裕があるなら
もう手加減しませんよ。」
激しく突きあげられた。
しまった。今は蒼の身体の上にいたことを忘れていた。
激しく上下に揺さぶられ気が遠くなる。
「いやっ、はうっ」
にちゃにちゃという音が部屋の中一杯に広がる。
何度放ったことだろうか。
もうだめだ。暗い谷底に落とされるように遠のく
意識の中、そんな自分を見つめる誰かの視線。
まだそれを感じていた。。
「はあ」
身体が重い。腰がだるい。誰もいなければこのまま
横になっていたい気分だ。
だがそうもいかない。横にすました顔をして控える蒼。
こいつに弱みを見せたくはない。
馬鹿らしいと思うがせめてもの主としての矜持がある。
昼間は僕が主人なのだから。
ふと視線を感じた。今日は庭からだ。誰なんだろうか。
僕には昨晩の天井からの視線と同じに思えるのだが?
「フッ」
蒼が笑った。
「若にも悟られるようじゃあ忍びとしては失格ですね。」
「えっ?」
「出てきなよ。もうばれてるんだしさ。」
誰に話をしているんだ蒼は?
庭の隅から出てきたのは黒い衣装の若いがっしりとした
男だった。顔を伏せて庭に土下座をする男に見覚えはない。
「この人は若の身を守る影の役、忍びなんだ。ずっと若に
仕えている内に若に懸想したんだね。まああんな色っぽい姿を
毎晩見せ付けられては身体がもたないかな。」
「じゃあ」
「そう、情欲にぎらついた視線は若にまで悟られた。
もう忍び失格だ。」
土下座をした男の肩が震えている。屈辱に震えているの
だろうか?なんだか哀れに思えてくる。
「見てるだけじゃつまらないでしょ。こっちに来て
一緒にしようよ。」
蒼の手が僕の胸元に侵入。
「欲しいなら自分の手で自分の物にするんだよ。
ほらこうして。」
着物の前をはだける蒼。
男が顔をあげる。熊のようにひげだらけの男。その目は
まるで炎の様に燃えていた。
「うーっ、あっ」
獣のような声。いくら昼間は僕の部屋に誰もこない
とはいえ不安になる。
でもその浅ましい声をあげているのは僕。
忍びの男はもう何度も僕の中へと放ったというのに
その大きな物の硬度は全然衰えずに今も僕の中で
暴れている。そして僕の物は蒼の口の中。先端を舌で
つつかれ、嘗めあげられ。
僕の胸をまさぐる4本の手、大きな無骨な指が乳首を
つまむ。小さな細い指が胸を撫でる。
「若、これからは2人がかりであなたをかわいがって
差し上げますから。」
「もう見てるだけじゃ厭だ。これは俺の物だ。」
「違うでしょ。僕達2人の共有物だよ。」
誰かがささやいている。もう何も考えられない。
昼間であることも、2人の男に抱かれていることも。
終わりの無い快楽の渦に巻き込まれてしまったことだけ
判っている。そう、それだけでいい・・・