これも一つの日常としてどう転んでも朝一番に目覚めるのはぼく。 まあ、元々の習慣だからそんなに苦にはならない。 手回しのミルでお気に入りの豆をたっぷりと挽く。 …やっぱ変な意味で気が散るからエプロンくらい着て おこうかな。自分のとは言え、変に揺れてるのが見え るし。 皆良く寝てたな。一応布団は掛け直してきたけどさ。 通いの小母さんも今日はまだ休みだし。深春も京介も、 そして先生も運良く仕事はお休みだ。ぼくも休講。だ から、こんなけだるい朝の迎え方をしても罰は当たら ないだろう。愛ゆえの結果だから。 こう言う関係になるなんて…受け入れている自分に も驚きだし、それを当然の様に受け入れてくれた皆に も実は驚いている。 『こう言う「家族」があったって好い』 そう、先生は言ってくれた。 『互いに好きでこうなったから、いいんじゃねぇか?』 これは深春の台詞。 『…自分達で望んだ関係だからね』 そう言って、一番綺麗に乱れる京介。 …でも、元気だよね。昨夜でも一体何回達したんだ ろう?余りにも愛し合いされたからつい溺れてしまっ た感じは否定できない。 先生、かなり欲しがってたな。上でも下でも。ぼく も言えないけどさ。教える人が巧過ぎたから。 「あ・お」 いきなり後ろから抱きしめられる。 「京介?珍しいね」 「発散したからね。それに蒼のその姿を見たら、一 度に目が覚めた」 「…莫迦」 何かオヤジ入ってない、京介?裸エプロンで目が覚 めるなんて。おまけに何でそんなに元気なのさ? 「愛があるからじゃない?」 「からかわないでよね。…シャワー、まだでしょ?」 「皆で入ろうと思って」 「あんな狭いところに?」 「神代さんと深春が先に入ってる。朝食前に汗がか きたいそうだ」 冷静な台詞とは裏腹にぼくを目覚めさせる手。立っ ているのが精一杯になりそうな、巧みな動き。体ごと 振り向いて正面から抱き合って、後ろ手でエプロンを 外して、体の隙間から抜き取る。 お互いの熱さが直に触れ合うだけで、爆発してしま いそう。 寝覚めの珈琲は取り止め。一頻りの後の珈琲にしよ うか、な。 《コメント》 チトあざといか? 家族の情景といった感じですが、どんなもん でしょうね?2人だけしか出てこないし。 |