白い乱れ

                     …ああ、まだ呑み足りない。随分渇いている。
                    手探りで渇きを癒す手段を探す。ああ、あった。
                    少し頼りない気がする。でも、湧き出させる方法
                    は知っている。
                     少し行儀は悪いけど、徳利から直呑みで行こう
                    か…。

                     「何とかしてよ〜、深春〜」
                     「元はと言えばお前が原因だろ?な、先生」
                     「まあ、客観的に見ればな。蒼が強く出られな
                    いのも判るけど、よ」
                     神代邸、3月3日午前3時33分少々。
                     困り果てている蒼、意地悪くそれを見る深春、
                    如何して良いか判らぬ神代、そして、眠りながら
                    も蒼自身を握り締めている京介。全員全裸である。
                     元は京介とめいめい関係を結んでいたのが、ひ
                    ょんな事から全員のスクランブルとなった。まあ、
                    これも一種の家族関係と、言えなくも無い。
                     今宵も誰いうとも無しに雪崩れ込み、通いの家
                    政婦さんが「殺風景だから」と持ち込んだ雛壇
                    (2+3の簡略なもの)を前にして軽く甘酒など
                    飲みながら致していた訳であるが…京介が珍しく
                    早々にダウン。甘酒の口当たりの良さに悪酔いし
                    たらしい。それでも宴は続く。
                     そして、京介が起きた、と思ったら、寝ぼけて
                    かどうか、蒼自身を握り締め、刺激し始めた訳で
                    ある。蒼が幾ら若いと言っても…神代と深春を相
                    手にしていたのだから結構消耗する。
                     それでも、京介だったから。
                     つい疲れていても反応してしまう、訳である。

                     「呑み癖悪ィな。…初めて知ったよ」
                     「俺もです」
                     「ぼくもですよぉ。…でも、そそられません?」
                     「…好きになったもんだな、蒼も」
                     「保護者連の影響でーす♪」
                     「反論、できねぇな。熊、お前も一緒に注いで
                    やれ!」
                     「まだ回復せず、ですか?」
                     そう言う深春にニヤリとしてみせる。
                     「おめぇの蕾が、まだ呑み足り無さそうにして
                    やがるしな」  


                     《コメント》
                       設定は「家族’」と同じ筈なんですが
                       …弾けたなぁ。随分あけすけになって
                       しまった。いいですけどね。
                       歳時記を名目にして濃い話を捻り出し
                       てる気が…あはは。

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