「ふー 案外難しいもんだなあ。」つい愚痴が出る
「ええと、後は型に入れて冷やすのか。」
冷蔵庫に型を入れて後は待つだけ。
「うまく出来ているといいなあ。」
冷蔵庫の前に座り込む。少し不安。
「京介・・・」
「えっ、何か用かい 蒼」
「あのねえ、これ貰って!」
後ろに隠していた物を押し付ける。
ああ 今の僕、きっと真っ赤な顔してるだろうな。
「こ、これは・・」
不思議そうな顔をして包みを開いた京介。
「蒼、これは。」
包みの中身。
それは昨日僕が苦労してつくった物。
京介の顔に似せてつくった棒つきのキャンディー。
「バレンタインのお返しだよ。」
「よく似てるな この飴。」
「だって僕の京介だもん!」
「自分で自分を食べるのか。」
悩んでる、悩んでる。。
「食べてもいいけどさ。2人でこれ食べようよ。」
もう1つの包みを差し出す僕。
それを開いた時の京介の顔ときたら!
「深春・・・か これは?」
「うん そうだよ。」
もう1つの包み。それの中身も棒つきキャンディー。
ただそれはおどけた熊の顔してるけど。
「2人で深春キャンディー食べよう!」
「深春が知ったら怒ると思うが。」
「平気、平気、だって3月14日なのに旅行に行って
いる深春が悪いんだよ。」
「じゃあ、いただくとするか。」
「京介表側嘗めていいよ。僕は裏側から嘗めるから」
2人で同じキャンディーを嘗める。
最初はちゃんとキャンディーを嘗めていたのに、いつ
の間にかキャンディーはどこかへ行ってしまう。
ついつい舌をからめての濃厚なキスへ発展していた。
「蒼、ここじゃあ・・」
「うん ベッドの上に行こうね。」
結局ホワイトデーのお返しはベッドの上。
よく考えたらバレンタインもそうだったっけ。
苦労して飴つくったんだけどなあ。
まあ いいか。
今頃深春は旅行先でくしゃみしてるのかなあ?
えへへ 深春の分もちゃんと京介にお返ししないと!