「なんで豆撒くの?」 ああ 始まったか・・・
「悪い鬼を追い払うためだよ。」 無難な答だな。
「なんで鬼は悪いの?」 そうきたか・・・・
「鬼はなあ、昔から人に悪い事をしてきたんだ。」
「どうして? 誰が決めたの?」
「・・・・・」 もう泣きたいよ 俺は。。
最近の蒼は困ったとこに「なぜなぜ坊や」と化してし
まったようだ。
すぐに「なぜ」「どうして」と聞きたがる。
子供にはこういう時期があるもんだと先生は笑うけど
しつこく聞かれるこちらの身にもなって欲しい。
「なあ、鬼って本当に悪い奴だったのかなあ?」
「なんだ急に?」
「いやあ 昼間蒼に節分のことを説明した時に聞かれ
たんだがな。。本当に鬼は悪い奴だったんだろうか」
「深春。。」
「もしかしたら鬼は外国人だったかもしれないよな。
髪の色や目の色が違う背の高い外国人を昔の人は鬼と
思ったのかもしれないし。そういう説もあるだろ。」
「そうかもしれないね。」
「なあ。。」
「何?」
「子供ってすごいよなあ」
「・・・ そうだね。」
「鬼は悪いものと思っていたけど誰が決めたかなんて
質問するなんてなあ。。」
「蒼は素直だから。」
子供なんて面倒くさいと思っていた。
でも違うんだな。。。
そう、子供ってすごいものなんだ。
それを俺に教えてくれたのは蒼。
そんな大切な蒼の為だ。節分の鬼の役位喜んで引き受
けてやろう。
でもなあ 蒼、豆だって思い切り顔に投げ付けたらな
痛いんだよ。
おまえ、鬼はかわいそうで俺はかわいそうじゃあない
のか?(泣)