愛の才能「桜井さん、持って来たよ」 「却下」 「着てみたいって言ってたじゃん」 「服の事じゃなくて、」 息が掛かりそうな位に顔を近づける。蒼は、逃れ様が無い。 「…京介」 「合格」 満足げに口付けられる。 生徒会室には、蒼こと書記の薬師寺香澄と副会長の桜井京介 以外には、誰も居ない。会長の栗山深春は今は部活中だ。 「栗山さん、来ませんよね」 「無粋な心配をする子だね。君こそ、イタリアに居る許婚… アントネッラだったっけ?彼女にはばれていないだろうね?」 「婚約破棄になったら、京介が面倒見てくれます?」 「深春が許せばね」 もう一度口付けて、袋の中身を身に纏ってゆく。蒼に見せ付 ける様にブレザーから総て脱ぎ捨てて生まれたままの姿になっ て。それだけでも暴発寸前なのが見て取れる。 「このままでも欲しくなってるんじゃないのか?」 挑発する様に微笑む。さっき下着を脱いで、直にズボンを穿 いているのはお見通しの様だ。 「他人のものだから、余計に萌えるって事、ありません?」 「同感だね」 紅いスカーフを結んで、準備完了。 其処に居るのは、注釈をつけない限り「綺麗な女子高生」だ。 元から整っている顔立ちだけに、全く違和感が無い。 「似合いますね」 「有難う。じゃ、行こうか?」 「何処へですか?」 「もっと萌える事が出来る場所へ」 そして二人は空き教室に居る。空き教室と入っても、偶々今 年空いただけで、両隣はきっちり埋まっている普通の教室だ。 「…大胆」 「今更。欲しくないの?」 「欲しいです」 「じゃあ、お出で」 白い双丘を見せて、誘惑する。 蒼は膝まづいて、その奥の蕾に接吻した。 荒い息だけが、教室の中に響く。二人とも今はお互いを欲す る獣になって只腰を律動させるだけ。 いや、蒼はそれでも周囲に気を配っている。この関係が結ば れた時から、同性と言うのはタブーではないと開き直っている。 只、京介の恋人と自分の許婚を裏切っているのには、少し罪悪 感。 恋愛には、時としてこう言う不公平も発生する。 そして、閑散とした教室。 机の上に一筋残された、白く濁った体液…。 (了) 《コメント》 カニイネトさんから貰ったイラストと、以前から抱いていた 歌のサビフレーズの発展形が結びついてこうなりました。 イメージで読んで頂ければ幸いです。 |
