「雨だな」
「うん。今日、講義は?」
「昼から。カズミは?」
「今日は全然無いんだ」
「そっか」
二人してベッドの中、雨の音を聞いている。
「跡、凄いね」
「そっちこそ。毎日やってるのによく飽きねー
よな」
「カゲリに変化が無ければ飽きてたかもね」
不意に笑って、軽く俺の鼻を咥えて、舐める。
「猫かよ、お前は」
「かもね。猫って言われて育てられたし」
そして、背中に軽く立てられる爪。今日は滑ら
かだよな。これで尖っていようもんなら…初め
てカズミの中に入った翌朝のシャワーの沁み方
を思い出して苦笑い。
「どっちが欲しいんだ?ったく」
カズミのおねだりには弱いんだよな、俺。
「まだ決めてない」
澄ました顔で言う。
「カゲリの身体で遊びたいだけだから」
「お前な…ま、いいけどさ」
暫らく、好き勝手に弄らせる。猫って肉食なん
だよなぁ、と改めて知る。カズミの体について
るのは紅い斑点だけだけど、俺の体に刻まれて
るのは歯型も含んでる。感極まると首筋に噛み
付くんだよな、こいつ。
「俺は鰹節かよ」
「にゃーん」
「猫になって誤魔化すな!」
「鰹節と言うよりもマタタビかも」
「今は?」
「うん、今は」
視線が合って、一瞬シリアス。そして噴出す。
「カゲリに悪いなんて思わないからね」
「俺もそんな嫉妬深くねーよ」
「嘘つき」
「露悪趣味なんだ、生憎」
「この件に関しては偽善者じゃ無いよ」
耳たぶを甘く噛まれて、囁かれる。
「最後までやったのは、カゲリとが最初」
「あんなに慣れてて?」
「一人で練習したんだ」
……ま、信じとこ。今俺の傍に居てくれるんな
ら、良いし。
そして俺も、カズミの体で遊んでみる。まずは
背筋を指で一撫で。
「ひゃうん」
顔が一瞬で赤くなるのが面白い。あ、前も濡れ
てる。そして、俺の胸に顔を押し付けて一言。
「我慢できないや。頂戴」
仰せのままに♪