PIT−A−PAT

 「アー、汗でべとべと.ね、深春、一緒にシャワー浴
びちゃわない?」
 その台詞に俺は目を合わせないまま答える。
 「いいよ、蒼.おまえ先に浴びちゃいな」
 そして俺を見つめる傷ついた眼差し…。
 それがここ最近繰り返される二人の遣り取りだった.

 蒼が誘い掛けている訳ではない、と思う.俺が蒼と二
人きりになるのを避けているだけだ。それも其の侭雪崩
込んでしまいそうな場面では、特に.
 少なくとも同性に欲情を覚える様な傾向は無かった筈
の俺が、ここ最近蒼の姿、殊に露出過剰な姿を見る度に
情緒不安定になっている.京介の相手をする時なんて、
あいつの面の美しさに感嘆こそすれ逆転してあいつを抱
きしめようなんて思いもしないのに、蒼に限っては「抱
きたく」なっている。
 これは欲望なんだろうか.それとも歪んだ愛情なんだ
ろうか.後者だとしたら絶対に押し付ける訳には行かな
い(前者なら尚更だが).
 蒼は「仲間」だ.かけがえの無い俺達の「宝物」だ.
それは蒼が自立するようになっても変わらない.変わる
筈が無い.
 それを自分の手で汚すような真似をするのは、俺の
人間としてのプライドが許さない.だから、あいつが一
時傷つこうとも目を逸らし続けるつもりだった.

 寝苦しい、夜.
 熱帯夜が余りに長く続き、おまけに情緒不安定も手伝
ってか中々眠れない.だからその晩もついいつもの習慣
通りドアの錠もかけずまどろんでいた.下着1枚以外は
何も身につけず.
 
 唇に、熱い感触.そして、肌の上に重なってくる瑞々
しい弾力.布1枚を通して伝わる脈動.
 誰の?答えはとっくに出ている筈だ.
 京介でなければ、蒼しかいない.
 となれば、答えを出すべきだろう.蒼の一番望む形で.

 「どうして、俺だったんだ?」
 「京介は背負い込んじゃうしね.だから悪いけど深春
にしたんだ.…迷惑?」
 「選んで貰えて光栄だけど…一番は京介だろ?」
 「イヂワル.どっちが一番とか、考えた事無いよ」
 そして深く口付ける。余計な布はとっくに取り去り、
お互いのはちきれんばかりの熱さが、出口を求めている
ばかりだ.
 「入るのか?」
 「やってみる」
 とは言うものの、初めての経験だ。俺の上にまたがる
蒼の目尻には涙が滲んでいる。逆転しようかと言いかけ
た矢先、進入成功、と思ったら全て包み込まれていた。
それだけで果ててしまいそうな自分をなだめながら、蒼
のリズムに身をゆだねる.

 お互いに心底満足したのは、20分後だった.

 「傷物になっちまったな」
 「其処までヤワじゃないって言ってくれたの、深春で
しょ?」
 「ま、な」
 そして不意に気づく.何だ、怖がっていたのは俺の方
か.言葉で伝えきれない感情なら身体で伝えれば良いん
だ.
 そしてもう一度深く口付ける。今度は限りない親愛の
情を込めて。京介に対する感情とは、又違うものだろう
が。
《コメント》
深春×蒼で御座います。それにしても蒼は積極的ですなー。
…いや、正確には「葡萄瓜の描く受」は、ですな(苦笑)
タイトル、日本語訳しますと「ドキドキ」です。
それ以外に思いつかなかった…。

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