好奇心の先どっちが誘ったかなんて覚えていな い。不意に欲しくなって唇を合わせて いたら、視界の隅に人影を感じた。 「ヒ、ロ?」 「あ、いいよ。続けてて」 そう言われて『はいそうですか』と キスシーンを続行出来るほどぼく等は 無神経にはなれなくて、とりあえず彼 に向き直る。 「吃驚しないの?」 「今更?」 「男同士だぜ?」 「だから?」 寧ろヒロの方が冷静だというのが凄 かったりして。 「Emiの場合より不思議と受け入 れ易いんだよな、此れが」 苦笑いと同時に帰ってくる返事。 「ま、妹の見てた雑誌よりは『成る 程な』と思い易い光景だった」 「…其れって、まさか『アンビシャ ス』だったりするんじゃ?」 「カゲリ、心当たりあるの?」 「…悪い。定期購読してるんだ」 ずっこけるヒロとぼく。気まずいシ リアスさは、何の伏線だったんだろう …。 「で、好奇心で聞くが」 ……ヒロ……冷静な口調で尚且つ好 奇心丸出し…君ってそう言う強いお人 だったんだね。 「受攻の分担か?」 「普通に見ると結城が攻一方って感 じで奉仕させまくってる様に思うんだ ろうが…」 と、此処で意地悪そうに言葉を切る。 「結城、痔になってないか?」 「お蔭さんでね。カズミは結構仕込 まれたみたいだし」 「へぇ」 ぼくに質問の視線を投げかけてもね ぇ…なんて答えれば良い訳?カゲリの 体は感度良好だとでも言えば良いの? 「なぁ、カズミ?俺が挿れさせてっ て言ったら、OKしてくれる?」 いきなりですかぁ? 「俺がカズミと気まずくなったって のはEmiの事もあったんだけどさ」 まあ、気持ちの盛り上がりもやっぱ 大事だからって事で、今三人とも下着 一枚。ぼくがトランクス、カゲリはブ リーフ。…で、ヒロは……。 『妹に頼まれちまってさ。で体験試 着』 そう言う事情があるからとは言え、 褌ってのは強烈だと思う。ぼくの関係 者で似合いそうだって言ったら……あ、 駄目だ。つい深春を連想してしまった。 「……自覚しちまった、って訳か?」 「まーな。自分の気持ちに確証が持 てない苛立ちを、カズミと距離を置く 事で解消しようとしてたって感じ、か な」 「で、蓉を見かけて、」 「きっかけをやっと見つけたと思っ て連絡取ったら結城が居たんだよな、 図々しく」 「悪かったな。こっちも嫉妬したん だからな。カズミって気易く呼んでや がってよ」 「……お互いかよ」 「多分な」 で、ぼくをほったらかしてカゲリと ヒロは前菜に取り掛かってる。へぇ、 ヒロ、かなり手馴れてる感じ。カゲリ がいきなり乱れるなんて、中々無いの にな。 「さ…かも…とぉ…ンッ…」 「ヒロって呼べよな、カゲリ」 耳元の囁きもお手の物って感じ。 「慣れてるじゃん、ヒロ」 「学習はしたけど実習の機会が中々 無くてな…」 「妹さんの本?」 「ああ。もう見事に意識改革されて る。カズミは、解さなくて良いんか?」 「一寸待って」 多分指で遣ってくれるだろうから、 せめて入り口だけでも少し綺麗にして おこう。濡れティッシュで割と丹念に 拭って…で、ローションを…、 取りに行こうと思って立ち上がった 腰を後から掴まれて、そして後に感じ る久し振りの感触。 「ひ…ろ…」 「案外柔らかい感触なんだな。ま、 シャワー浴びてないから匂いはしゃー ねぇけど」 「ば、かぁ…」 あ、駄目。立っていられない感じ。 ふと見るとカゲリがぼくを潤んだ目で 呼んでいた。 「準備、良いの?」 「ヒロの手管で随分。来い、よ」 じゃ、遠慮なく。 仰向けになったカゲリの上に被さっ て、遠慮無しに深めに打ち込む。何時 もなら苦しげな眉間も、今日はかなり 緩やかだ。 そしてぼくの入り口を舌で開いて行 くヒロ。もう、いいかな。ぼくも久し 振りに欲しくなっている。 「来てよ、ヒロ」 「ああ」 返事があってすぐに満たされる感触。 「此れも、学習?」 「まあ。なっ!」 相槌と一緒に強烈な一突き。カゲリ にも影響した様で、締め付けが凄い! もう言葉は要らなかった。体の感覚 がぼく等の気持ちを代弁しているって 感じだった。 三人一緒に絶頂を迎えたのは、三十 分後。全員健闘したよね。カゲリもか なり持ち堪えてたし、ヒロは初心者で このタイムだし。 「……癖になりそう」 カゲリが満足した声で囁いてる。 「さ…ヒロに解して貰った方が良い かな。これから」 「見よう見まねだぜ?ゆ…じゃねぇ、 カゲリが感じ易過ぎ」 ぼくをほっといて何してんのかなー、 この二人は。 ま、いいや。 これからどうなっていくか。好奇心 の先にあるものを見る為に付き合うの も、良いか。この二人となら。 《コメント》 カゲリ受け、続行中です。 何故なんでしょうねぇ。カゲリ って攻っぽいキャラだと思って はいるんですが…。 内面は受なのかな?それも心底からの。 |