NIGHT STAGE
煌々と照らされたピアノの前で、カゲリの熱演は
続いていた。滴る汗をものともせず一心不乱に。
……一心不乱に?否、決してそう言う訳ではなかった。
何となれば只二人の観客…桜井京介と蒼は
カゲリの熱演をBGMに貪り合っていたのだから。
もっとも、カゲリの無聊を紛らわせるように、
ちゃんと玩具は仕込まれていた訳だが。
蒼から最初誘われた時に、拒否の選択も無論あった。
カゲリが欲しているのは、あくまでも
「薬師寺香澄」だったから。
でも、好奇心に負けた。「蒼」の時のカズミが、どんな
萌え上がり方をするのか、見たくなってしまったし、
カズミを此処まで仕込んだ…初心者同然のカゲリを
完全に篭絡した程の腕前に仕込んだ「桜井京介」と言う
人間にも興味を抱いたのだから。
そして今、心と局部は二人の痴態を見て萌え盛って
いる。にも拘らず指先が冷静に旋律を辿り、尚且つ
感情豊かな音を紡ぎだしていたと言うのは、
カゲリのピアニストとしての資質を保障するものだろう。
旋律に乗せて、貪りあう蒼と京介。身に纏って
いるのは革靴と白い靴下。ネクタイは当の昔に解けており、
他の衣装は元から纏っていない。其れはカゲリも同様だ。
旋律の隙間を縫って耳に響くくぐもった歓喜の声、
唾液の音。そして室内を満たす汗の薫り。
だが、それももう少しの我慢だ。
曲を弾き終えても尚、二人は貪りあっていた。
傍らに近づき、京介の顔の上で忙しく上下する白い丘
…其の中心に指を滑らせる。待ち受けていたかの様に
カゲリの指はのめり込んで行く。刹那、微かな身じろぎを
感じたが、其れも最初の内だけ。
指が2本になり、3本になる頃には白い肌が
桜色に上気していた。只、達していないだけだ。
「随分、仕込まれたようだね」
「カズミの真似をしてるだけですよ。
貴方でしょ?こいつ仕込んだの」
「でもお預けを教え忘れててね。僕としている時は
此処まで我慢強くなかったからね」
「きょう……す……か、げ…」
「欲しい?」
京介とカゲリ、ユニゾンの問いかけ。
そして、恥らうような、頷き。
「結城君、後、頼む」
「前はどうするんです?」
「一応準備はしてあるんだ」
そう言いつつ「分身」を生み出す。蒼のものよりは
やや小振りだが、其れでも大したサイズだ。
「おいで、蒼」
嫣然とした誘惑の微笑みに吸い寄せられ、
広げられた足の間に納まる。
何時もカゲリを弄ぶ冷静さは何処へやら、
狂った様に京介に体をぶつけている。
「じゃ、俺、もっ!」
もう解す必要はない、とばかりに狙いを定めて突き入れる。
「あうっ!」
うめいたのも一瞬、後は只管悦びの吐息のみを吐き出す。
「すげぇ熱い…カズミん中……良いの?」
「む……ね……」
「摘むんか?」
頷きを確認するや少し強めに抓り上げてやる。
自分がそうされると萌えるから。
「あ、イイっ!」
読みは当った様だ。締め付け具合が強まったし、
声にも一層艶やかさが滲んでいる。
「良い…タイミング、だな。こっちももう少し…
…大きいのがほし…かっ…た…」
「バ、カァ…」
前の方の膨張率も上がったらしい。
『じゃ、一度イっておくかな?』
スピードを上げていく。さっきの演奏の時の冷静さを
かなぐり捨てて、只管二人を、そして
自分を追い上げていく様に。
『………!……』
「カゲリ君、後で連弾お願いしたいけど、いいかな?」
「今度はぼくがお預け?まあ、たまには良いか」
「じゃ、俺に下さいね」
秘密のステージは、まだ幕を引かない様だ。