未確定恋愛

                    「成一!何グラス持ったまま固まって
                   んだよ?」
                    この人に言われるまで全然自覚してな
                   かった。不覚!
                    「左枝子ちゃんの結婚式が近いからっ
                   て言って今更嫉妬心燃やすんじゃありま
                   せんよ?」
                    「誰がですか?恐竜の骨で浮かれる誰
                   かさんじゃないんですから」
                    「……言う様になったねぇ、お前さん
                   も。まあ良いからぐっと空けなさいよ。
                   今日はとことんまで奢ってあげようじゃ
                   ないか」
                    「………」
                    「何かな、方城君。其の冷たい横睨み
                   視線は」
                    「猫丸先輩」
                    「言いたい事があるなら言った方がス
                   トレスは溜まらないぞ?」
                    「俺の気持ち知ってて愉しんでるでし
                   ょ?」
                    「左枝子ちゃんへの気持ちか?」
                    「……いいですよ、もう」
                    手酌でぐいぐい呑んでみる。口当たり
                   の良い冷酒にした所為か進みは早い。こ
                   うなったら呑み潰れてやる!この人にこ
                   う言う事情を察してくれと期待したのが
                   莫迦だったんだ、と思い切り自己嫌悪。

                    あれ…眼の前が眩しい…其れに何か柔
                   らかいものの上に横になってる様な……。
                    ぼんやりとした意識が急に引き戻され
                   たのは下半身の一点から昇ってきた快感
                   ゆえに。余り経験は無かったけれども。
                    「……っふぅ、ひわふいはは?」
                    「先輩?」
                    何故この人の頭が俺の股間に……って、
                   ええ?
                    「ちょ…はなっ……」
                    「途中は苦しいぞ?先ずは楽になっち
                   ゃえよ?」
                    一端口から出して弄んでいた僕自身を
                   其の台詞が終わると同時に再び深く咥え、
                   絶え間なく快楽を送ってくる。
                    「や……やだぁ……っ…ンン…」
                    こうなる事を夢想しなかった訳じゃな
                   い。でも弄ばれるのは予想していなかっ
                   た。だって、俺は先輩を抱きたかったの
                   だから。
                    でも、心で抵抗した所で肉体は快感に
                   は正直な訳で。
                    其れも望んでいた相手が送って来る快
                   感だから不本意な形でもより一層感じて
                   しまう訳で。
                    結局、泣き叫びながら先輩の口の中に
                   思い切り放って、脱力感に横たわる俺が
                   其処に居た。

                    「成一」
                    「触らないで下さい!」
                    頬に伸びてきた手を振り払う。
                    「嫌いだ。猫丸先輩なんて」
                    こんな時にこんな抱き方をする人だと
                   は思わなかったから、余計に悔しい。そ
                   して、こうなってもまだ何処かでこの人
                   を好きな自分が余計に哀しい。
                    「だったら誘うな」
                    「何時誘ったんですか?」
                    「左枝子ちゃんの事を口実に媚びてき
                   たのを気付いてないと思ってたか?」
                    普段では初めて聞く、冷静な声だった。
                    振り向くと、涙?
                    「せめて冗談乗りでも良いさ。ぶつか
                   って来てくれればこっちだって嫌いじゃ
                   ないから其れなりにさせて遣れる。いっ
                   つも僕に裏を読む事を強要するなよ?こ
                   う言う事位、真正面からしたいさ」
                    照れ臭くなったのか、不意に顔を背け
                   てもう一言。
                    「お前さんだったら、特にな」
                    「先輩、其れって」
                    「やっぱ自分しか見えてなかったか?
                   …不毛だよな」
                    右手で目の辺りを覆い、暗い笑いを漏
                   らす。
                    「最悪。こんな鈍い奴を好きになるな
                   んて。笑うしか無いや」

                    「遅いですか?」
                    「何が?」
                    「もう一度、好きになって貰うのを、
                   です」
                    覚悟を決めて言ってみる。軽く、背後
                   から抱きしめながら。此処までぶつかっ
                   てくれた相手から又逃げたら、もう恋愛
                   なんて出来ないだろうから。
                    「舌の根も乾かない内にか?」
                    まだ、言葉に刺がある。この呪文がま
                   だ間に合うのなら…。
                    
                    「好きなんです。猫丸さんが」

                    「合格。続き、遣ろうか?」
                    微笑みながら溢れている涙を、唇でそ
                   っと拭って、背中に返事を書いた。


                    《コメント》
                     筆が進むと同時に微妙に変わった
                     なあ…。2作目の猫丸先輩。
                     お相手は長編の依頼主、方城成一
                     君です。一寸乙女入ったかな?
                     肉体関係はバリバリ行ってしまっ
                     た様な気が…。

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