空冷式エレキテル

　起きぬけの異変に慌てなかったのは別に肝が据わっていたから、じゃない。　眼の前でこいつ等が喧嘩してたんで呆れてただけだ。　俺と全く変わらないような、チビな形で。　「何でこいつが此処におんねん？！」　「いいじゃねェか。愉しむんなら頭数の多い方がいいぜ？」　眼鏡の奥の眼差し……ひぇー、こいつ、こんな物欲しそうな目つきするんだ？新しい発見だよな。にしてもさ…せめて下着１枚程着たら如何なんだよ、おい。二人とも下半身はやる気になってるもんだから、生えてないと言っても恥かしいんだよ！人の事は言えない状態だけどさ。　「さて、如何します？お二方」　我ながらチキン肌。でも、この二人の前じゃ俺は基本的にこう言うキャラ。声変わり前の餓鬼がこんな台詞吐くのって嫌いなんだけどね。　それにしても不覚をとったもんだ。東の名探偵が珍しく酒なんて出してくれたもんだから、つい気安くなって飲み干したのが運の尽き。まさかこいつに少年趣味（と言えば良いのか？）があったとはね。　ま、こんなのも悪くないかもね。　「こうして見るとそっくりなんやな。ホンマに他人か？」　俺の頬を手で挟んで、間近にまじまじと見てくれる西の名探偵。へぇ、綺麗な目、してるんだ。肌も木目細やかで…と言ってもこれは餓鬼になったからだな。　「他人ですよ。遺伝子に間違いが無ければね」　「気取った喋り方すなや？醒めるや無いか」　「じゃ、貴方が乱れさせてくれれば良い。簡単な事でしょう？彼にやっている事の応用なんだから」　「ええんか？」　問いかけは俺に、じゃ無くて、東の名探偵に。良いけどね。　そして、ＧＯサイン。　口付けは、いきなり深く。まあまあってとこか。これなら前菜として丁度いいかな…と思っていたら足元を掬われた。自分でさえ知らなかったツボを探し当ててゆく其の舌に。　「ふぅん、こんなとこ、ええんや？どないや？声、我慢せんでええんやで？」　悪戯っぽく笑いながら全く知らなかった感覚を掘り出してゆく彼。これで普通なら一度昇りつめきって休む事が出来るんだけど …出せないんだよな、この身体じゃ。涎は溢れるけどね。　「ああ…ン…は…」　思わず名前を呼びそうになる俺の耳元に滑り込む、掠れたボーイソプラノ。　「平次、や。呼んでみ？」　「…ん……へい…じ…ッ…」　「よおでけました。ご褒美にこんなんどや？」　後に滑り込む感覚。それは段々とうねりを増して俺の理性を溶かしてゆく。平次の指だと判っていても…子供の指だと判っていても、俺の頭の中じゃ…。　そして、全身を貫く快感に身体を振るわせつつ、暗転…。　再び目覚めたのは、珈琲の香りに誘われて。　「お目覚めか？怪盗さんよ」　「まあね。余分は？」　「勿論あるで…と言うか、あんたん為に淹れた様なもんやけどな」　「そりゃどーも」　素肌にエプロンかよ…これで反応してる自分が哀しいぜ。しかも元に戻ってるしな。こいつ、元に戻っても良い体、してんだな。　「工藤は？」　「寝とる。さしものあいつも流石に３人遊びはハードやったか。 …にしてもな」　「何？」　「自分、事の後やから一寸は崩れたらどないやねん？醒めたらいきなり他人行儀かい！」　「立場ってもんがあるでしょ？」　「ほーん？さっき『新一！新一！』言うて無茶苦茶乱れとったんはどの口やねん？俺にまでイかされとってからに」　　「不可抗力、ってのは駄目？」　「却下や、却下！これからも巻き込まれて貰わないかんのに」　「マジ？」　あ……思わず地が出ちまった。　「真剣と書いてマジ、や。やっと同い年らしなったな」　「同い年って……知ってたのかよ」　だーっ！もうＫＩＤモード止め！大阪弁の図々しさに対抗できねぇもん。それにさっきの乱れ方持ち出されるとなー…今更気取っても仕方ねぇし。　「知らんかった。でもあの薬ン効き方で判った」　「安全だろうな、アレ」　「心配すな。俺も何遍ものんどる。あの嬢ちゃんの製品やしな」　「道理でね」　会話の合間に指をジワリと握ってみる。そして、握り返される指。　「まだ、足りんのか？」　「足りないな。指と模型じゃ」　「ほな、この指は？」　さっきより多少ごつくて、それでいてしなやかな指が滑り込む。　「さっき怒ってたのに…俺とヤって良い訳？」　「あいつ、アレやる時はな、嫉妬の火花が散っとる程萌えんねん」　「へぇ」　「だから俺も一枚乗ったんや。正直、あんたも喰いたかったしな」　「…欲張り。それに『あんた』じゃねぇだろ？」　「じゃ、なんて呼んだらええ？」　「……快斗……」　「ええ響きやん」　「そりゃどーも。で、最後まで？」　「中途半端、嫌やろ？」　まあ良いさ。まだ夜は長そうだし。

《コメント》
余程発酵したんだろうか？
分類上で言うと平快、なんでしょうか？
しかもタイトル思いついた時の筋書きと
違ってきてるし