薔薇より紅く

                    不公平だと思う。
                    今、離れて生きて行ける筈など無いと、
                   お互い判っているのに、彼は常に優位だ。
                    いつの間に此処まで執着してしまう様に
                   なったんだろう。元々彼の居ない世界で生
                   きていたのに、彼と関わりだしてから自分
                   の総ての座標軸が変わってしまった。
                    今彼はもう一人の同居人にかつての私と
                   同じ手解きをしている。尤も、リベザルが
                   虜になる事は、多分あるまい。
                    リベザルの相手は、既に決まっている。
                    「さて、どうしたものか…」
                    一人ごちた処で火照りが鎮まる訳も無い。
                    「……そうか……」
                    鎮めてくれる相手を思い出して、そっと
                   家を抜け出す。秋は疾うに気付いているだ
                   ろうが、お相子だ。

                    「それで、他人の寝室に侵入している訳
                   か。ストレリッチア」
                    「座木、ですよ。嫌いじゃないでしょう?
                   其の現状から見て」
                    「……まあな」
                    『花花』の奥の寝室を夜中に急襲されて
                   は毒舌も流石に鈍る。カイは苦々しげに座
                   木を見つめた。
                    「どうせならリンを寝取ってやろうとい
                   う気概は起きんのか?」
                    「残念ながら。どうせ気晴らしならば後
                   腐れの無い人の方が良いですし」
                    「だから俺、か?」
                    「貴方とイェンリィの間に割り込むつも
                   りじゃないですけどね。只、刺激も欲しか
                   ったんです」
                    「だとよ。どうする?」
                    リ、リン。
                    涼やかな鈴の音。そして穏やかな微笑と、
                   眼差しの中の熱情。
                    「したいのか?されたいのか?」
                    「出来れば両方」

                    体の上を舌が這って行く感触…どれ位振
                   りに味わうだろう。イェンリィに背後から
                   揺すぶられながらカイの舌遣いに溺れる。
                    「そのまま、来い」
                    貫かれたままカイを貫く。耳朶を甘噛み
                   され、カイの首筋に噛み付き、其の侭続け
                   様に吐き出す。
                    「喉も渇いてるだろ?」
                    そしてカイを口に含むとイェンリィの舌
                   に翻弄される…。
                    人間と違って果てる事は無い。だから、
                   際限なく戯れは続く。睦言など無いままに。

                    「…有難う」
                    「初めてだな。心の篭った言葉をお前か
                   ら貰ったのは」
                    照れ隠しに口付けてみる。軽い、唇だけ
                   のキス。
                    「そう言うキスも出来るんだな」
                    「私を何だと思ってました?」
                    「チウのお人形…殴るな!」
                    チリッ!
                    咎める様な鈴の音と軽く睨み付ける視線。
                    「言葉の綾だ。俺もこう言う事でチウを
                   敵に回したくない」
                    「一度くらい嫉妬すればいいんです。私
                   の思いを知っているくせに」
                    服を整えて、一隅の花瓶から薔薇を1本
                   抜き取る。
                    刺に傷ついた指から流れる、薔薇よりも
                   紅い血。座木の思いそのものだ。
                    「其れもチウだ。判っていた筈、だろ?」
                    「ええ。割り切れない私が未熟なんでし
                   ょうけど」
                    「……時々の気晴らしなら、付き合って
                   やるよ」
                    カイの笑顔がこっちに向けられる。初め
                   てみる。彼のこんな優しい微笑。
                    「嫌いじゃないし、な。俺達だって燃え
                   るから」
                    リィン!
                    そんなに優しくされると、戸惑ってしま
                   う。

                    「お帰り」
                    朝帰りの座木を迎えたのは、秋。
                    「早いですね」
                    「其の侭起きてた。すっきりした顔、し
                   てるな」
                    「お陰さまで」
                    「言っとくけど」
                    背中に顔を押し付けられる。
                    「リベザルには挿れてないし、挿れさせ
                   てないからな」
                    「知ってます」
                    「僕に挿れていいのはゼロイチだけだし、」
                    声まで赤面しているみたいだ。
                    「僕が挿入れたいのは、座木だけだからな」
                    「…朝から何を、恥かしい事」
                    ………でも、嬉しいですよ。


                    《コメント》
                      厳密に言って…エロかしら、これ?
                      何か乙女入った様な気がします。 
                      其の割には元気で貪欲ですけど。
                      特にイェンリィ。此れほど欲しがる
                      キャラとは思わなかった。

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