痛てえ、肩の上に漬け物石でも乗ってるみたいだ。
情けないなあ ちょいと書き物をしただけなんだが。
あきらめて湿布の世話になることにした。
こんなところをあいつらに見られてなるものか。
どうせ年寄り扱いするに決まっている。
しかしなあ、自分で肩に湿布を貼るのも結構大変だ。
うっ 今度は手がつりそうだ。
「先生、何してるんですか？」
し、しまった。よりによってこいつに見られるとはな
「ははあん。湿布を貼りたいんですか。一言言ってく
れれば手を貸しますよ。」
苦笑しながら俺の背中を触る。
「ああ 肩ガチガチですよ。少し揉みましょう。」
素肌の上をあいつの無骨な手が滑る。
「お年の割りには滑らかな肌ですよね、先生。」
うっ やばい こいつ欲情してる声だぞ。
「先生、運動不足なんじゃないですか。ねっ、少し俺
と運動しましょう。そうしましょう。」
こら、熊、人の答えも聞かない内に服脱がすな！
あっ だめだ。こいつの目が濡れている。
抵抗をあきらめた俺の身体から力が抜けていく。
いや、感じはじめた身体が脱力したというのが本当の
ところかな。
「うー 腰がだるい・・・」
翌朝ぐちる俺の横ではまだ平和そうな顔をして寝てい
る熊。そのノホホンとした顔を見るとなんか腹がたっ
てきて思わず頭を１発殴ってやった。
「先生、ずいぶん暴力的ですね。」
寝てると思った熊に腕をつかまれ再び布団の中へひき
ずりこまれる。
「ほら、適度な運動は肩凝り解消にいいでしょ。」
「ば、馬鹿、今度は腰が痛てえんだよ。」
「先生、やはり運動不足ですよ。じゃあ朝の軽い運動
をしましょ！」
「こっ、こら！ そんなとこ触るな！」
「あれえ 先生もやる気じゃないですか。嬉しいな」
結局布団から出たのはそれから３時間後のこと。
翌日俺はダンベルを買い込んだ。
くそお 体力強化だ！今にみてろよ 熊の野郎め！
