「あっ、ごめんよ。」
気がついたら既に事は終わっていた。
濡れた身体を丁寧に拭いてくれた彼。
いくら気持ち良かったとはいえ失神してしまうなんて
顔から火がでそうな位恥ずかしい。
「いいんだ。ごめんね。無理させて。」
はにかんだように笑う彼。
するりと猫のようにベッドの中の僕の隣に入りこんで
くる。
顔をすりよせてくると髪から匂うシャンプーの香り。
「シャンプー替えた?」
「うん。グリーンシトラスの香り。どう?」
彼の清潔なイメージによくマッチした香りだ。
「明日の朝、一緒にお風呂入ろう。僕が髪の毛を洗っ
てあげる。」
「いいよ、自分で洗えるから。」
「知らないな。僕は指先の魔術師なんだから。すごく
気持ちいいんだよ僕が洗うと。」
「じゃあお願いしようかな。」
「うん じゃあ明日ね。お休み。」
「お休み。」
僕に抱きつくようにして眠る彼。
僕の右手の小指を大事そうに握って寝るのは子供の頃
からの習慣だ。
寝ている間に僕がどこかへいかないように無意識にし
ているしぐさらしい。
「お休み。」
だから僕も彼を抱き締める。
大好きだよ。君と一緒に目覚める朝が楽しみだ。
「愛している。」
眠りの世界でまどろむ君の耳元でささやく。
ふんわりと彼は笑ってくれた。
「うん 僕も大好き。京介のこと」