目隠しゲーム

「はい、次のは誰でしょうか？」
楽しそうな蒼の声が聞こえてきた。
クスクス笑っているのは多分深春。 
「もっと大きい口開けてよ。」
ためらいがちに小さく開いた口元を妙な質感のある物が
そっと触れる。仕方なく大口を開けると途端に堅くて
熱い物体が侵入してきた。
先端に舌を当てると熱いしたたり。このサラリとした
感触、薄めな塩気の感じからいくと多分これは
先生だろう。いや、待て。よく考えよう。 

『深春の味』発言がこんなとんでもない事態を
引き起こすなんて思ってもみなかった。蒼が深春と
先生と僕を連れてきたのは郊外のホテル。 
いわゆる、そのぉ、ラブホテルというたぐいの建築物で
あって。しかも蒼が僕に要求したことは・・・ 
「深春の味だけ覚えてもらっては困るからね。
ここはひとつ公平にみんなの味を覚えてもらうことに。」 
そう笑って僕に目隠しをした蒼。そして耳元で
こっそりとささやいた。
「ゲームの始まりだよ。」 

今僕の右の胸をまさぐるのは先生の少しざらついた手。
少し太い指先はさっきから僕の胸の小さな飾りを弄んで
いる。転がしてつまんでそしてひねる。でも力は入って
いない。あくまでも優しく、ソフトに。 
反対の左の胸を撫で回すのは深春。大きく熱い手は僕の
胸をただ撫で回すだけ。乳首に触れそうで触れずじらす
戦法らしい。じれったくて身体を動かしたいが動かせない。
なぜなら僕の身体はベッドに縛られているから。
両手両足を広げられてまるではりつけの様な状態で縛られ
おまけに目隠しはそのまま。動きたくても動けない。
もう解放して欲しいのに。 
「なんか罰ゲームなのに本人がこんなに喜んじゃあ
意味ないよお。ちょっと休憩しよっか。」 
胸から手が離れる。ホッとしたのもつかのま、何かが
体内に侵入してきた。この感触はまさかアレ？ 
「休憩中はそれで遊んでいてね。汗かいたなあ、
お風呂入ろうよ深春。先生も背中流してあげるね。」 
人の去る気配。そして体内の異物が動き出す。蒼の奴、
僕の中にとんでもないおもちゃを入れたらしい。 
「あっ」
つい声が漏れてしまった。こんなおもちゃに声を
あげるなんて恥ずかしい。 
それにさっきから何か視線を感じるんだ。もしや
あの３人は風呂に行った振りをしてどこか片すみで僕の 
このあさましい姿を眺めているんじゃないだろうか？ 
蒼の笑み、深春の緊張した顔、先生のニヤニヤ顔が
脳裏に浮かぶ。あの３人ならそれ位悪趣味なことを 
やりかねない。それにしてもいつまでこのままなんだろう？
この部屋に入り目隠しをされたのがもう何日も昔のことの
ような気がしてならない。 
「ハァッ」
くねりが強くなってきた。おまけにソレが出し入れ
されているような気すらしてきた。 
僕の弱点を的確に突いてくるのは誰？今度は僕自身が
熱い口中に収められる。舌が先端をつつき僕の解放を
うながす。そんなに強く吸われたら絶えられないのに。 
「大好きだよ、京介。」
耳たぶをそっと噛んでそうささやいてくれるのは蒼。
「あんまりかわいいから」 
その続きを僕に伝えるのは深春。
「みんなでかわいがりたくなってな。」
「まあたまにはいいだろうが」 
先生の声は下の方から聞こえてきた。
じゃあ僕の物をくわえていたのは先生？？ 
「ウッ・・」
引き抜かれた物の代わりに入ってきたのはおもちやと
比べものにならない大きな物。 
最初はゆっくり、そして段々と強く、確実に僕を
追いあげていく熱い固まりに追い詰められていく僕。 
「あっ、もう・・・」
小さくうめくと僕はあまりの快感に意識を手放した。
谷底に墜ちていくように 
遠のいていく意識の中、誰かの悲鳴を聞いたような気が
したのは気のせいか？ 

「あ、アレ？」
温かな物に包まれている感触がする。 
目を開けるとそこは風呂の中だった。僕をひざの上に
乗せて抱えるようにしているのは深春。 
「すまん京介。あんまりいい声出すからつい夢中で」 
「もうーっ！　京介体力なさすぎー！」
蒼の声に少し皮肉が混じって聞こえる。
「休憩、休憩だ。」
先生ののんきな声を聞いたら自然と笑いがこみあげてきた。
大声をあげて笑う僕に３人はぎょっとした感じで僕の顔を
黙って見つめる。 
「少し休んだら続きをしよう。」
にっこり笑って３人の手を握った。
「みんなの味を僕に教えてくれるんだろう。
さあベッドに戻ろうか。」